NPO法人「眼瞼下垂の会」代表のおーば、こと大場美津子です。
今回は、小児の先天性眼瞼下垂で、時にクローズアップされる「弱視」について。
私が「眼瞼下垂」の支援に取り組むようになって、今年で14年目になるのですが
つい最近まで、ある事実を知らずにいました。
それが今回のテーマである「眼科医のいう弱視」の定義について、です。
5年ほど前のこと。片眼性先天眼瞼下垂の当時3歳のお子さんのお父さんから、「通院先の小児眼科の先生が、私の子の視力を『弱視』と診断しました。非常にショックを受けています。もう、どうしていいのかわかりません。」と悲痛なメールをいただきました。
幼児期は「視力を完成させる」ための大切な時期であり、6歳〜8歳ころまでに適切な訓練(両目でものを見る)をしないと、それ以降にどんなに努力しても視力を獲得することはできません。わたしは、メガネやコンタクトレンズを用いても視力を矯正することができない状態を、「弱視」と理解していました。
わたしはそのお父さんに、「あなたのお子さんはまだまだ視力を回復させるチャンスが十分にあるので、どうぞ気落ちしないように。」とお返事しましたが、「しかし、担当の先生が『弱視』と断言したのです・・・。」とすぐには気持ちが前向きにならなかったことを記憶しています。
私はその時、「回復の見込みがあるのに『弱視』というなんて、なんというひどい医者だろう」と憤慨したものです。
さて先月下旬に、こんな記事を読みました。
目とメガネに関する豆知識「弱視」
(セイコーオプティカルプロダクツ(株)快適視生活応援団より)
◎弱視には4つの種類がある
◎それぞれの適切な対処法が大切・・・。
と、本文に書かれていることは私も既知のことでしたが、
前文に、社会的弱視と医学的弱視のことがサラりと書いてあって、なんだこれは?と思いました。
で、ウィキペディアで慌てて確認すると・・・
弱視
つまりは、私がこれまで弱視と呼んでいたのは社会的弱視で、現在はロービジョンを指すのだということ・・・?
現在日本において、弱視とは視覚の発達期に視性刺激遮断あるいは異常な両眼相互作用によってもたらされる片眼あるいは両眼の視力低下で、眼の検査で器質的病変はみつからず、適切な症例は予防、治療が可能なもの(植村、1993)という定義が広く受け入れられている。(ウィキペディア日本語版「弱視」から引用。強調は筆者)
はぁ〜、まったく目からウロコ。
私はこの瞬間まで「弱視」=「社会的弱視」の概念しか持っていませんでした。
5年前メールをいただいた件では、担当医は「医学的弱視」について説明していたということになりますから、「ひどい医師」は言い過ぎだったということです。
わたしが看護師になるための勉強をしたのはウン十年も前の話ですし、ことばや定義が変わることは珍しいことではないのですが、私のもっていたのは古いままの概念でした。つくづく、自分の勉強不足を恥じ入ります。
それでもあえて言いたいのは。
弱視という言葉のインパクトに打ちのめされる人も多いのです。
「医学的弱視」=治療が可能、回復の見込みがある
というのは、ほとんどの一般生活者は理解していません。
なので、患者さんやご家族と直接向き合う医療職のみなさんには
医学的概念に忠実に説明するのであれば、その意味を患者さん側が理解するまで説明する責任があります。
「混雑する外来で、そんな時間はありません」というのであれば、
患者さん(ご家族)が前向きに訓練、治療に向かうことのできるように
平易なことばで説明することを、どうか忘れないでください。
今回、ちょっと長い記事になってしまいました。最後までお読みいただき、ありがとうございます。
これからも 眼瞼下垂に関するお知らせをしてまいります。
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