まぶたの病気、眼瞼下垂の患者と家族を支援しているおーばです。
今回は、眼瞼下垂相談窓口に電話をくださった方のことを書きます。
体験をブログに紹介しても良いか?と尋ねたところ 承諾してくださいましたので、聞いたお話をまとめて体験談のように書いてゆくことにいたします。
* * *
Aさん(男性)は現在40代。
Aさんは、小さいころから右のまぶたが たるんでいました。
(写真で見ると、小さいころからそうだったと言います)
左の目はくりっと大きかったので、左右の目の大きさは目立ちました。
小さいころは、それを自分で気にしたことはありませんでした。
親に聞いたりすることもありませんでした。
中学生になると、自分でも右まぶたの下がりが気になりはじめ、
高校時代にかけて、まぶたに関するコンプレックスはピークになりました。卒業アルバムの自分の顔のところをマジックで塗りつぶしたので当時の顔を見ることはできませんが、うまくいかないことをすべて目のせいにしたりもしました。
20歳の頃、手術を受けようと思い立ちました。
最初に受診したのは市民病院の形成外科でした。しかし受付で言われたのは「あなたのまぶたは形成外科の対象ではない。手術をするとしたら美容外科」ということばでした。
そこでAさんは母親に初めてまぶたのコンプレックスと、手術を希望していることを話しました。しかし、母親はAさんに「手術は、してほしくない」と告げたようです。Aさんはとても落胆しました。
しかし、やはりどうしても手術せずにはいられない心境になり、
市中にある 美容外科クリニックを受診しました。
その美容外科の医師はAさんを診察し、二重を形成する(ビーズ法)手術を提案し、Aさんはその手術を受けました。
まぶたの上がり方は Aさんが期待したほどではありませんでした。
家族や友人の誰からも、手術を受けたことに気づかれませんでした。
目の大きさがあまり変わらなかったことを執刀医に訴えましたが、
手術前と比べれば目は大きくなっていますと言われ、納得せざるを得ず
それ以上 その美容外科で診てもらうことはありませんでした。
さて、Aさんはそれ以降、まぶたのコンプレックスのことも 自分が受けた美容外科の手術のことも すっかり頭から消えてなくなったそうです。普通に仕事をし、普通に家庭を持ち、普通に生きてきました。
ところが最近になって、美容外科に関するTV番組を偶然みたことがきっかけになり、20歳の頃に受けた美容外科の手術のことを急に思い出しました。
後ろめたさというか、罪悪感というか。フラッシュバックのように何度も思い出しては たまらない気持になりました。
その気持ちのままに、webであれこれと調べてゆくうちに、どうやら自分のまぶたは眼瞼下垂という病名だろうということがやっとわかりました。
それも、先天性眼瞼下垂なのだろうということがわかり、幼少期のことや思春期のことも 腑に落ちたと言います。
病名がハッキリしたころで「救われた気がする」と思いました。
* * *
Aさんは再手術を望んでいるわけではありませんし、親に対する恨み言もなく、20年前の形成外科や美容外科を責めることもありませんでした。
ただ、過去に美容整形を受けたということが心に引っかかっていて、
それが自責の念にもなっているし、現在も家族に対して隠し事をしている自分に後ろめたさも持っているということです。
Aさんは 私のところに電話をする前にも、いくつかの相談窓口に問い合わせてみたが、悩みの本質を理解してくれる相手でないと、話をしてもスッキリしなかったと言いました。
私にも、Aさんの抱えていたモヤモヤをすっかり晴らすだけの力はありません。それでも「長年、眼瞼下垂の当事者や家族と向き合ってきた」経験はいくらかでもお役にたてているように感じました。
今回、詳細にわたってAさんの体験を書いたのは、
ああ、こういう人は、きっと他にもいらっしゃるだろうと 思ったからです。
こういう体験は、同じような経験を持つ人どうしでシェアするのが
一番良いであろう、思っております。
地域のなかで、ピアサポートグループの集まりがあると、その中では自分の思いを隠したり飾ったりせずに話すことができます。仲間の話を聞くことが癒しになったり赦しになったりもします。
眼瞼下垂にはまだこういったグループはないのですが
たとえば Aさんのように、眼瞼下垂の専門相談に電話してもいいし
交流会に参加するのも 有効だと思いました。
Aさんからの電話で、感じたことは他にもあるのですが
長くなりますので またの機会に。
これからも、がんけんかすいのブログをよろしくお願いいたします。
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Facebookにてfacebookページ「眼瞼下垂の会」を開いています。
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2013年12月12日
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