まぶたの病気、眼瞼下垂の患者・家族を支援しているおーばです。
今回は久しぶりに先天性眼瞼下垂のおはなしです。
先日、私の元にこのようなお問い合わせがありました。
多くの人が同じようなところで困っていると思いました
そこで
ご相談者様からの了解をいただき 質問、回答をすることにしました。
<お問い合わせのメール>
初めまして。
1歳1ヶ月の息子が両眼眼瞼下垂です。
私の判断したところでは、右が中度で左が軽度です。
眼科医には生後3ヶ月頃に初めて診てもらい、
「問題ないですよ。次は3歳になったら視力測ってみましょうね」
と言われ 現在経過観察中です。
でも、前からですが 出掛ける度に
「眠そうだねー」とか「あれ?眠いのかな?」と言われて、
愛想笑いしてごまかしてるんですが、言われる度にやっぱり手術して
なおしてやったほうがいいのではないかと思っています。
実は主人が眼科の視能訓練士をしており、眼科の知識はあります。
なので、手術後のデメリット(過矯正や兎眼や再手術など)
のことがすごく気になってなりません。
私としては息子が小学校に上がる前には治してやりたい思いがあります。
大場さんの息子さんは手術されて10年経たれてますが、経過はいかがですか?
術眼が元に戻りそうな感じとかありませんか?
アドバイスお願いいたしますm(_ _)m
<回答>
手術の時期に関して、揺れ動く気持ちが伝わってきます。
私自身 わが子がまだ小さかった時に、周りの人に何か言われるたびに、その言葉が心の傷になっていたことを思い出します。
「わが子にこんな思いをさせたくない」という気持ちから早い手術を望みました。
早く手術をしてあげることが子供にとっての幸せだと思っていました。
術後は それまでのようにまぶたのことを言われることもなくなりましたので
手術して良かったと思っています。
おーばの息子は、2003年の5月に手術をしています(2歳9か月のときです)。
術式は眼瞼挙筋短縮(前転術)です。
手術から数週間後に ケロイド体質のせいで二重まぶたの糸がはずれ、いったん上がっていたまぶたが下がってしまう という予想外のトラブルに見舞われました。
この時期はまだ術後の腫れも残っていたので一時的に逆さまつ毛になっていたのですが、腫れの消褪とともに逆さまつ毛は自然に解消しました。
以来10年が経過して、術眼が再度下がってくるという感じはありません。
ちなみにこの10年間 重瞼線はそのままだったのですが、本人が再手術を希望するようになりましたので、この夏休み中に再手術を検討しています。
10年前にわが子の手術をした時は、私自身の眼瞼下垂の知識が今よりもずっと乏しい状態でした。
まぶたを上げれば それで終わりだと単純に考えていました。
でも、先天性眼瞼下垂の場合は、長いスパンで、視力のこと・見た目のことも含めて考えなくてはならないということが分かってきました。
いずれの時期に手術をしても、思ったよりもまぶたが上がりすぎる場合もあれば、上がり足りない場合もあります(過矯正・低矯正)。小さいお子さんの場合は、将来のことを考えて低矯正気味に手術することもあります。
術後のまぶたは閉じにくくなり、眠っていても薄くまぶたが開くことがあります(兎眼)
また、顔をまっすぐ向いたまま下を見ると、下垂したほうの眼が大きく見開かれるようになります(眼瞼後退)
先天性眼瞼下垂の手術には、程度の差はあるにしろ こういうことは必ずあるものです。
そして、成長とともに修正手術も必要になると考えた方がいい。(結果的に必要ない場合も多いのですが)
早いうちの手術がいいという考え方 良くないという考え方
手術をする医師の中にも いろいろあって いまでも 統一されたものはありません。
まぶたのために望ましい選択としては自分の意志で手術したいと思うまで手術しないのが正解なのでしょうが、
母親にしてみれば手術をするまでの結構長い年月、たびたび心に傷を負うかもしれない
本人にしても(悪意はなくても)まぶたのことをあれこれ言われ続ける時期があり
幼いながらに、悲しんだり苦しんだりするかもしれない。
そういった思いと戦う強さが求められます。
私自身が、息子の手術でホッとしたように、
人生の早い時期で手術をして、見た目の症状を改善することを否定してはいけないなあと、最近また思うようになりました。
ただし実際は、もう少し複雑で、
下垂の程度や周囲の反応、それを受け止める本人や家族の気持、
あとは本人・家族に治療の意志があっても
手術できる施設は全国を見回しても決して多くないという事情もあります。
いろんな要因があって、その人(お子さん)の手術の時期が決まるのだと思います。
本日もお読みいただき、ありがとうございます。
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2013年07月04日
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