先日、1歳の先天性眼瞼下垂のお子さんをお持ちのお母様から お問い合わせがありました。要約すると・・・
「たしかおーばさんは 手術の時期をあまり急ぐのはよくないという話をしていたと記憶しており、早期の手術は考えていなかったのですが、以前から評判の良い病院を受診したところ、こちらの先生の説明する『早期の手術についてのメリット』に非常に納得したため、手術を前向きに考えるようになりました。
ついては おーばさんが早期の手術を賛成しない理由を教えてください。」
この件は、かなり共通性の高い問題だと思っています。
ですので、ブログの記事としてこの問題をとりあげさせていただくことにしました。
最初に言っておきます。この問題に正解はありません。
わたしの意見は、いち「患者の母親の意見」にすぎません。
一般的に申し上げて、
医師が先天性眼瞼下垂の手術を勧める時期はその医師によって違います。同じ病院内でも主治医によって違うこともあります。
・できるだけ早いうちに手術をするのが良いという考え方。
・3歳頃に手術をするのが良いという考え方。
・小学校に入学する前が良いという考え方。
・自身の希望があり、部分麻酔に耐えられる思春期頃が良いという考え方。
…これに、患者さんの下垂の程度、視力の状態、患者さんや家族の持つ個々の状況が絡み合ってきますので、本当に千差万別ですね。
一方で、私自身の考えもこの10年間で大きく変遷してきました。
こどもが眼瞼下垂でうまれてから、手術を受けるまでは
早く手術してくれる病院がいい病院だと単純に思っていました。
2歳9ヶ月で自身の子の手術を終えたあとに サイト運営を本格的に開始しました。
サイトに寄せられる10代から40代の当事者の声を聴くことになりました。
「かつて自分が受けた手術に不満があるので再手術をしようと思い受診したが、それが非常に難しい手術になるといわれた。非常にショックを受けた。」
複数のかたから そういったご体験談をいただき、私自身もこれを重くうけとめなければならないと 感じました。
0歳、1歳、2歳・・・
自分が何者かについて考えることもなく、
親にすべてを依存する時期のお子さんを持つ親は、
わが子のすべてを自分の責任でなんとかしなきゃならないという錯覚をしがちです。
でも 眼瞼下垂なのは親ではなく、別人格のお子さんであり
眼瞼下垂とずっとつきあってゆくのも 親ではなくお子さんだということを
私たちは、ちゃんと理解しなければなりません。
眼瞼下垂が手術によって100%の機能回復を出来る病気であるならば、
早期の手術に もろ手をあげ賛成します。でもそうじゃない現実(まぶたが閉じにくくなること)があります。
将来、わが子が自分の目の形に不満を持つことがあるかもしれません。
乳幼児期に過度に瞼の形成を整えてしまうことは、10年後のわが子の思いを潰してしまうことにつながるかもしれません。
なので、『幼児期までに行う手術は、若干ゆるめの手術をする』という考えを、私は支持しています。
思春期まで手術をせずにいるという方針には同意できません。
親として、わが子が瞼のことで他人から何か言われるのは つらいです。
相手に悪気がなく言っているのが判っていても つらいものです。
まして、まぶたのことでわが子がからかわれたり、いじめられたりすることは、耐えられないことです。
折衷案というわけではないのですが…
私が考える 手術に最適な時期は3歳から5歳までの間です。
3歳ころになると 親の説明がなんとなく理解できるようになります。
手術後のつらさも、理解した上でがんばってくれそうです。
3歳という年齢は、視力検査が出来るようになる年齢です。
手術をして、術後のケアと平行して視機能のチェックをしてゆけば、
将来的な「弱視」をふせぐことも出来ます。
小学校入学以前に手術をすることで、不用意なイジメやからかいから逃れられるとも思います。
大場がこう書いたからといって 1歳でお子さんの手術をした人や、6歳で未手術の人、手術をせずにわが子と 眼瞼下垂との付き合いを続けてゆくという人もいらっしゃると思います。そういうかたがたを否定する気持ちは、まったくありません。
手術の時期を決断するポイントは 医師の考えと 患者(家族)の考えが合意したところにあると考えています。その決断は尊いものだと思います。
最初にも書きましたが、
手術に適した時期という問題に正解はありません。
それぞれ ご自身で考え、決断してゆかなければならない問題です。しっかりお考えになって決めていただきたいし、決断したことには、自信をもっていただきたいというのが わたくしの願いです。
>医師が先天性眼瞼下垂の手術を勧める時期は(意外に思うヒトも多いかもしれませんが)その医師によって違います。同じ病院内でも主治医によって違うこともあります。
大切なことが抜けています。
下垂レベルです。
軽度・中度・重度によっても手術時期はかなり違ってきます。
このレベルが一番重要ポイントだと思いますよ。
今回は、病院側・医師の事情にのみ着目して記事を書いたのですが、説明が不足していたために腑に落ちない内容に終わってしまったことをお詫びいたします。
ご指摘にありましたとおり、手術の時期を決めるには、
本人の下垂の状況、家族の状況、住んでいる地域の状況・・・。
いろいろな個々の状況が複雑に絡み合いますからますます、正解はありませんね。
今後もさまざまな視点から 皆様にわかりやすく 眼瞼下垂のことを紹介していきたいと思います。
今後とも どうぞよろしくお願い申し上げます。
この記事の内容を一部書き直しました。
たいせつな気づきをさせていただき、感謝しております。
今後ともよろしくお願い致します。